古典 全訳とポイント 漢文 「鴻門之会」

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● 沛公、旦日従百余騎、来見項王、至鴻門、謝曰、
→ 沛公、旦日百余騎を従へ、来たりて項王に見えんとして、鴻門に至り、謝して曰はく、

 

★ 沛公は、翌朝、百騎余り(の部下)を引き連れて、項王にお目にかかろうとして鴻門にやって来て、謝罪して言うには、
● 「臣与将軍戮力而攻秦。
→ 「臣将軍と力を戮はせて秦を攻む。

 

★ 「私は将軍と力を合わせて秦を攻めました。
● 将軍戦河北、臣戦河南。
→ 将軍は河北に戦ひ、臣は河南に戦ふ。

 

★ 将軍は黄河の北で戦い、私は黄河の南で戦いました。
● 然不自意、能先入関破秦、得復見将軍於此。
→ 然れども自ら意はざりき、能く先に関に入りて秦を破り、復た将軍に此に見ゆるを得んとは。

 

★ しかしながら、自分でも思いもよりませんでした、(私のほうが将軍より)先に函谷関に攻め入って秦を破ることができ、再び将軍とここでお目にかかれようとは。
● 今者有小人之言、令将軍与臣有郤。」
→ 今者小人の言有り、将軍をして臣と郤有らしむ。」と。

 

★ (ところが)今、つまらぬ者の中傷があり、将軍を私と仲たがいさせようとしています。」と。
● 項王曰、「此沛公左司馬曹無傷言之。
→ 項王曰はく、「此れ沛公の左司馬曹無傷之を言へるなり。

 

★ 項王は、「そのことは沛公殿の左司馬である曹無傷が言ったのである。
● 不然、籍何以至此。」
→ 然らずんば、籍何を以つてか此に至らん。」と。
★ そうでなければ、この籍はどうしてこのようなことにたち至ろうか。」と言った。





● 項王即日因留沛公、与飲。
→ 項王即日因りて沛公を留めて、与に飲す。

 

★ 項王はその日、よい機会だからと沛公を引き留めて、いっしょに酒盛りをした。
● 項王・項伯東嚮坐、亜父南嚮坐。
→ 項王・項伯は東嚮して坐し、亜父は南嚮して坐す。

 

★ 項王と項伯は東を向いて座り、亜父は南を向いて座った。
● 亜父者范増也。
→ 亜父とは范増なり。

 

★ 亜父とは范増のことである。
● 沛公北嚮坐、張良西嚮侍。
→ 沛公は北嚮して坐し、張良は西嚮して侍す。

 

★ 沛公は北を向いて座り、張良は西を向いて(沛公のそばに)控えた。
● 范増数目項王、挙所佩玉玦、以示之者三。
→ 范増数項王に目し、佩ぶる所の玉玦を挙げて、以つて之に示す者三たびす。

 

★ 范増はたびたび項王に目くばせし、腰に帯びた飾り玉を持ち上げて、項王に三度も(沛公を殺す決断をするよう)合図した。
● 項王黙然不応。
→ 項王黙然として応ぜず。

 

★ (しかし)項王は黙ったままでそれに応じなかった。
● 范増起、出召項荘、謂曰、
→ 范増起ち、出でて項荘を召して、謂ひて曰はく、

 

★ 范増は席を立って、(宴席の外に)出て項荘を呼び寄せ、言うには、
● 「君王為人不忍。
→ 「君王人と為り忍びず。

 

★ 「主君(項王)は思い切ったことができないお人柄だ。
● 若入前為寿。
→ 若入り前みて寿を為せ。

 

★ おまえは(宴席に)入り、進み出て健康を祝福しなさい。
● 寿畢、請以剣舞、因撃沛公於坐殺之。
→ 寿畢はらば、請ひて剣を以つて舞ひ、因りて沛公を坐に撃ちて之を殺せ。

 

★ 健康の祝福が終わったら、剣舞をしたいと願い出て、それにかこつけて沛公をその場で撃ち殺してしまえ。
● 不者、若属皆且為所虜。」
→ 不者んば、若が属皆且に虜とする所と為らんとす。」と。

 

★ もしそうしなければ、おまえたちはみな今にも(沛公に)捕虜にされてしまうだろう。」と。
● 荘則入為寿。
→ 荘則ち入りて寿を為す。

 

★ 項荘はすぐに(宴席に)入り、健康を祝福した。
● 寿畢曰、「君王与沛公飲。
→ 寿畢はりて曰はく、「君王沛公と飲す。

 

★ 健康の祝福が終わると、言った、「主君は沛公殿と酒盛りをしていらっしゃいます。
● 軍中無以為楽。
→ 軍中以つて楽を為す無し。

 

★ (しかし、残念ながら)軍中では音楽を奏する手段もございません。
● 請以剣舞。」
→ 請ふ剣を以つて舞はん。」と。

 

★ どうか(この私に)剣舞をさせてください。」と。
● 項王曰、「諾。」
→ 項王曰はく、「諾。」と。

 

★ 項王は、「よろしい。」と言った。
● 項荘抜剣起舞。
→ 項荘剣を抜き起ちて舞ふ。

 

★ (そこで)項荘は剣を抜いて立ち上がって舞い始めた。
● 項伯亦抜剣起舞、常以身翼蔽沛公。
→ 項伯も亦剣を抜き起ちて舞ひ、常に身を以つて沛公を翼蔽す。

 

★ (すると)項伯も(項荘と同じく)剣を抜いて立ち上がって舞い、常に自分の体で沛公を守り防いだ。
● 荘不得撃。
→ 荘撃つを得ず。

 

★ (そのため)項荘は(沛公を)撃つ機会がなかった。
● 於是張良至軍門、見樊噲。
→ 是に於いて張良軍門に至り、樊噲を見る。

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★ そこで張良は(部下の待機している)陣営の門まで行き、樊噲に会った。
● 樊噲曰、「今日之事、何如。」
→ 樊噲曰はく、「今日の事、何如。」と。

 

★ 樊噲は、「今日の会見はどんな様子ですか。」と聞いた。
● 良曰、「甚急。
→ 良曰はく、「甚だ急なり。

 

★ 張良は、答えて言うには、「(事態は)非常に切迫している。
● 今者項荘抜剣舞。
→ 今者項荘剣を抜きて舞ふ。

 

★ 今、項荘が剣を抜いて舞っている。
● 其意常在沛公也。」
→ 其の意常に沛公に在るなり。」と。

 

★ 項荘のねらいは常に沛公にある(すきを見て沛公を殺害しようとしている)。」と。
● 噲曰、「此迫矣。
→ 噲曰はく、「此れ迫れり。

 

★ 樊噲は言った、「それは危ない。
● 臣請、入与之同命。」
→ 臣請ふ、入りて之と命を同じくせん。」と。

 

★ 私は(宴会場に)乗り込んで、沛公様と生死をともにいたしましょう。」と。
● 噲即帯剣擁盾入軍門。
→ 噲即ち剣を帯び盾を擁して軍門に入る。

 

★ 樊噲はすぐに剣を腰に付け、盾を抱えて陣営の門から入ろうとした。
● 交戟之衛士、欲止不内。
→ 交戟の衛士、止めて内れざらんと欲す。

 

★ 矛を交差して守る番兵が(樊噲を)止めて中に入れまいとした。
● 樊噲側其盾以撞。
→ 樊噲其の盾を側て以つて撞く。

 

★ 樊噲は(持っていた)盾を傾けて、それで(番兵を)突き飛ばした。
● 衛士仆地。
→ 衛士地に仆る。

 

★ 番兵は地面に倒れた。
● 噲遂入、披帷西嚮立、瞋目視項王。
→ 噲遂に入り、帷を披きて西嚮して立ち、目を瞋らして項王を視る。

 

★ 樊噲は中に入り、張り巡らした幕を押し開けて西を向いて立ち、目をむいて項王をにらみつけた。
● 頭髪上指、目眥尽裂。
→ 頭髪上指し、目眥尽く裂く。

 

★ その髪の毛は逆立ち、まなじりは裂けんばかりであった。
● 項王按剣而跽曰、「客何為者。」
→ 項王剣を按じて跽して曰はく、「客何為る者ぞ。」と。

 

★ 項王は刀の柄に手をかけ、片ひざ立ちになって身構え、「おまえは何者だ。」と言った。
● 張良曰、「沛公之参乗樊噲者也。」
→ 張良曰はく、「沛公の参乗樊噲といふ者なり。」と。

 

★ 張良が、「沛公の護衛のために同乗する樊噲という者です。」と答えた。
● 項王曰、「壮士。賜之卮酒。」
→ 項王曰はく、「壮士なり。之に卮酒を賜へ。」と。

 

★ 項王は、「勇壮な男だ。この男に大杯についだ酒を与えよ。」と言いつけた。
● 則与斗卮酒。
→ 則ち斗卮酒を与ふ。

 

★ そこで(項王の従者が)一斗入りの大杯についだ酒を与えた。
● 噲拝謝起、立而飲之。
→ 噲拝謝して起ち、立ちながらにして之を飲む。

 

★ 樊噲は拝礼して立ち上がり、立ったままで酒を飲みほした。
● 項王曰、「賜之彘肩。」
→ 項王曰はく、「之に彘肩を賜へ。」と。

 

★ 項王は、「この男に豚の肩の肉を与えよ。」と言いつけた。
● 則与一生彘肩。
→ 則ち一の生彘肩を与ふ。

 

★ そこで(項王の従者が)一かたまりの生の豚の肩の肉を与えた。
● 樊噲覆其盾於地、加彘肩上抜剣切而啗之。
→ 樊噲其の盾を地に覆せ、彘肩を上に加へ剣を抜き切りて之を啗らふ。

 

★ 樊噲は持っていた盾を地面に伏せ、豚の肩の肉をその上に載せ、剣を抜いて切りながらむさぼり食った。
● 項王曰、「壮士。
→ 項王曰はく、「壮士なり。

 

★ 項王は尋ねた、「勇壮な男だ。
● 能復飲乎。」
→ 能く復た飲むか。」と。

 

★ もっと飲めるか。」と。
● 樊噲曰、「臣死且不避。
→ 樊噲曰はく、「臣死すら且つ避けず。

 

★ 樊噲は言った、「私は死ぬことでさえ避けようとは思いません。
● 卮酒安足辞。
→ 卮酒安くんぞ辞するに足らん。

 

★ 大杯についだ酒などどうして辞退いたしましょうか。
● 夫秦王有虎狼之心。
→ 夫れ秦王虎狼の心有り。

 

★ そもそも秦王には虎や狼のような(残忍な)心がありました。
● 殺人如不能挙、刑人如恐不勝。
→ 人を殺すこと挙ぐる能はざるがごとく、人を刑すること勝へざるを恐るるがごとし。

 

★ 人を殺すことが多くて数え尽くせず、人に刑罰を加えるにあたっては、処罰しきれないのを、ひたすら恐れるというふうでした。
● 天下皆叛之。
→ 天下皆之に叛く。

 

★ (だから)天下の人がみな秦に背いたのです。
● 懐王与諸将約曰、『先破秦入咸陽者、王之。』
→ 懐王諸将と約して曰はく、『先に秦を破り咸陽に入る者は、之に王とせん。』と。

 

★ (秦を討つにあたって)懐王は諸将と約束なさって、『真っ先に秦を破って咸陽に攻め込んだ者は、その地の王としよう。』とおっしゃいました。
● 今沛公、先破秦入咸陽、毫毛不敢有所近。
→ 今沛公、先に秦を破り咸陽に入るも、毫毛も敢へて近づくる所有らず。

 

★ 今、沛公は真っ先に秦を破り咸陽に入りましたが、いささかも(財貨を)自分のものとすることがありませんでした。
● 封閉宮室、還軍覇上、以待大王来。
→ 宮室を封閉し、軍を覇上に還し、以つて大王の来たるを待てり。

 

★ (そればかりか)宮室を閉鎖し、軍を覇上に引き返し、大王(項王)がおいでになるのをお待ちしておりました。
● 故遣将守関者、備他盗出入与非常也。
→ 故に将を遣はして関を守らしめしは、他盗の出入と非常とに備へしなり。

 

★ わざわざ将兵を派遣して函谷関を守らせたのは、他の盗賊の出入りと、非常事態とに備えたのです。
● 労苦而功高如此、未有封侯之賞。
→ 労苦だしく功高きこと此くのごときも、未だ封侯の賞有らず。

 

★ (沛公の)苦労は並たいていではなく、功績が高いのはこのようでありながら、まだ諸侯に取り立てられる恩賞もございません。
● 而聴細説、欲誅有功之人。
→ 而るに細説を聴きて、有功の人を誅せんと欲す。

 

★ それどころか、(大王は)つまらぬ者の言うことをお聞きになって、功績のある人を殺そうとしておられます。
● 此亡秦之続耳。
→ 此れ亡秦の続のみ。

 

★ これは滅んだ秦の二の舞にほかなりません。
● 窃為大王不取也。」
→ 窃かに大王の為に取らざるなり。」と。

 

★ はばかりながら大王のために賛成いたしません。」と。
● 項王未有以応、曰、「坐。」
→ 項王未だ以つて応ふる有らず、曰はく、「坐せよ。」と。

 

★ 項王は何の返答もしないで、「座れ。」と言った。
● 樊噲従良坐。
→ 樊噲良に従ひて坐す。

 

★ 樊噲は張良のそばに座った。
● 坐須臾、沛公起如廁。
→ 坐すること須臾にして、沛公起ちて廁に如く。

 

★ 座ってほんのしばらくして、沛公は立ち上がり、便所に行こうとした。
● 因招樊噲出。
→ 因りて樊噲を招きて出づ。

 

★ そのついでに樊噲を手招きして外に出た。
● 沛公已出。
→ 沛公已に出づ。

 

★ 沛公は(宴席から外に)出てしまった。
● 項王使都尉陳平召沛公。
→ 項王都尉陳平をして沛公を召さしむ。

 

★ (沛公がなかなか戻ってこないので)項王は、都尉の陳平に沛公を呼ばせた。
● 沛公曰、「今者出、未辞也。
→ 沛公曰はく、「今者出でしに、未だ辞せざるなり。

 

★ (一方、外に出た)沛公は言った、「今、出てきたのだが、まだ別れの挨拶をしていない。
● 為之奈何。」
→ 之を為すこと奈何。」と。

 

★ どうしたものか。」と。
● 樊噲曰、「大行不顧細謹、大礼不辞小譲。
→ 樊噲曰はく、「大行は細謹を顧みず、大礼は小譲を辞せず。

 

★ 樊噲は答えた、「大事の前には小さな謹みなどかまっていられません。大きな儀礼の前には小さな譲り合いなど問題にしません。
● 如今人方為刀俎、我為魚肉。
→ 如今人は方に刀俎たり、我は魚肉たり。

 

★ 今、相手は包丁とまな板であり、我々は魚や肉です。
● 何辞為。」
→ 何ぞ辞するを為さん。」と。

 

★ どうして別れの挨拶をすることがありましょうか。」と。
● 於是遂去。
→ 是に於いて遂に去る。

 

★ そこで、(沛公は)そのまま立ち去った。

moriyama について

時習館ゼミナール/高等部
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