古典 全訳とポイント 漢文 「石壕吏」

● 暮投石壕村
→ 暮れに投ず石壕村

★ 夕暮れになって、石壕村に宿をとった。
● 有吏夜捉人
→ 吏有り夜人を捉ふ

★ 役人が夜中に(徴発のために)人を捕らえにやって来た。
● 老翁踰牆走
→ 老翁は牆を踰えて走り

★ 宿のじいさんは(徴発から逃れるために)垣根を越えて逃げ出し、
● 老婦出門看
→ 老婦は門を出でて看る

★ ばあさんが門口に出て応対した。
● 吏呼一何怒
→ 吏の呼ぶこと一に何ぞ怒る

★ 役人はなんと大声で怒ってわめきたてていることであろうか。
● 婦啼一何苦
→ 婦の啼くこと一に何ぞ苦しき

★ ばあさんはなんと苦しそうに声をあげて泣いていることであろうか。
● 聴婦前致詞
→ 婦の前みて詞を致すを聴くに

★ 耳をすませて聞くと、ばあさんが役人の前に進み出て、次のように、口上を述べている。
● 三男業城戍
→ 三男は業城に戍り

★ 「わたくしには三人の息子たちがおりましたが、みな?城を守るために出かけました。
● 一男附書至
→ 一男書を附して至れるに

★ (先日)そのうちの一人が手紙をことづけてきましたが、
● 二男新戦死
→ 二男新たに戦死せりと

★ ほかの二人の息子はつい最近戦死してしまったということです。
● 存者且偸生
→ 存する者は且く生を偸むも

★ 生き残った子は、(危険にさらされながらも)しばらくどうにか生きながらえていますが、
● 死者長已矣
→ 死せる者は長に已む

★ 死んでしまった子は永久にもうおしまいです。
● 室中更無人
→ 室中更に人無く

★ 家の中にはもう(男は)だれもいなくなってしまいました。
● 惟有乳下孫
→ 惟だ乳下の孫有るのみ

★ ただ乳離れしない孫がいるだけです。
● 孫有母未去
→ 孫には母の未だ去らざる有るも

★ その孫には(夫に先立たれた)母親がいて、まだ家を離れずにおりますが、
● 出入無完裙
→ 出入するに完裙無し

★ 外に出かけるにも満足なスカート一つないありさまです。
● 老嫗力雖衰
→ 老嫗力衰ふと雖も

★ この老婆めは、力こそ弱りましたが、
● 請従吏夜帰
→ 請ふ吏に従ひて夜帰せん

★ どうぞ、お役人さまに付き従って、今夜中に(目的地まで)参りましょう。
● 急応河陽役
→ 急に河陽の役に応ぜば

★ 今にもすぐ河陽の前線基地での労役にあたりますなら、
● 猶得備晨炊
→ 猶ほ晨炊に備ふるを得んと

★ これでもまだ朝の飯炊きぐらいのお役には立てると存じます。」と。
● 夜久語声絶
→ 夜久しくして語声絶え

★ 夜もすっかり更け、人の話し声がぷっつりと途絶えると、
● 如聞泣幽咽
→ 泣いて幽咽するを聞くがごとし

★ (やがて)さめざめとむせび泣いている声が耳に聞こえたような気がしたのだった。
● 天明登前途
→ 天明前途に登るとき

★ 夜明けになり、ふたたび旅路につく時、
● 独与老翁別
→ 独り老翁と別る

★ たった一人じいさんだけに別れを告げたのだった。
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古典 全訳とポイント 漢文 「石壕吏」 への1件のフィードバック

  1. 小野原茉白 のコメント:

    わかりやすい説明でした!!
    ありがとうございます

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