
シュレーディンガーは、100年ほど前、量子力学の発展に貢献した偉い科学者です。
量子力学は、電子や原子と言った「肉眼では見ることの出来ないほ ど小さな物質」についての学問です。
直接見ることは出来なくても、我々の体などは原子の集まりで出来ていますし、
検出器などで調べれば、確かに存在してい ることが分かります。
この「原子の存在」を、数学的な「式」で表したものを、
「シュレーディンガーの方程式」と言います。
この方程 式を解いてみると、実験的な事実と同じ答えが出てくるので、
正しいと考えられてます。
例えば、原子力爆弾や、コンピュータのLSI、テレビなどのブラウン 管などは、
この「シュレーディンガーの方程式」に沿って動いています。
ですが、この方程式は、これまでの「常識」とは大きく異なる概念を含んでいるため、
科学者の間でも、しばしば議論を引き起こします。
その一つが、「観測が、状態を決定する」と言う概念であり、
それを分かりやすく喩えたものが「シュレー ディンガーの猫」です。
「シュレーディンガーの猫」は、図1のような「箱に入った猫」のことです。
ただし、箱の中には「核分裂をす る原子」「核分裂を検出する装置」および
「検出器が動くと、毒ガスを発生する装置」も入っています。
そして、「核分裂をする原子」はシュレーディンガーの 方程式に沿って、
ある時間後に核分裂をします。いつ分裂するかは、箱の外からでは分かりません。
で、いつ分裂するかはわからないけれど、分裂した時は毒ガ スが発生して、
猫が死にます。
この時、箱を開ける前の「原子の状態」は、どのようになっていると言えるでしょうか。
量子力学では、「観測するまでわからないので、分裂していない 原子と、
分裂した原子が混ざった状態である」となっています。
「混ざった状態」とは、普通では考えられませんね。
普通は、どちらか片方の状態であるはずで す。
しかし、「シュレーディンガー方程式」では、
「混ざった状態」と言う解が出てくるのです。
そうすると、箱を開ける前の「猫の状 態」は、どうなるのでしょうか。
原子の状態によって、猫の生死の状態が決定されるのですから、
猫の状態も「生きた猫と、死んだ猫が混ざった状態」となって しまいます。
なんか変ですね。これが、「シュレーディンガーの猫」と言うわけです。
この状態を、表したものが図2です。
常識的には、「箱を開けるまでは生 死は分からない。
いつの間にか猫が死んでいて、
箱を開けた時に死んだ状態を観測する(図2a)」となります。
量子力学では、
「箱を開ける前は、生と死が混 ざった状態で存在する。
箱を開けた時に、生きるか死ぬかのどちらかの状態に変化する(図2b)」となります。